現実を二次創作する - 車輛編〜今年度のアドオン制作の総括〜【シムトラアドカレ2022】

一般記事
 みなさん、2022年はどんな年でしたか?進学や就職、結婚といった人生のターニングポイントを迎えた方もいらっしゃるでしょう。今年を受験勉強・就活・資格勉強などに費やし、来年挑戦をされる方もいらっしゃるでしょう。また、コロナ禍の影響も小さくなり、旅行やイベントなどの楽しい体験を久々にしたという方も多いのではないでしょうか。
 私自身、2022年には多くの出来事がありました。新規のプロジェクトを立ち上げたり、久々に長期間の旅行に行ったり、とあるプログラムに参加して多くの学びを得たり......その中でも印象に残っているのは、「SImutransのアドオン作成を本格的に始めた」ということです。
 今年度、私は多くのアドオンを制作しこのportalに投稿いたしました。その中には高い評価をいただいたものもありましたし、お叱りや叱咤激励をいただいたものもございました。私のアドオンを使用してくださいました全ての方に、御礼を申し上げます。
 この記事では、今年度作成したアドオンの振り返りをいたします。稚拙な内容ではございますが、よかったら付き合ってください!

地方私鉄アドオン

 私がアドオン作成の主な対象としておりますのは、「地方私鉄の自社発注車」です。後発のアドオン作者として未開拓の領域であること、各社の創意工夫が見受けられ興味深い個性的な車両が多いことから、この分野を指向いたしました。
 ところで、地方私鉄の自社発注車を作成する際には一点問題があります。ほとんどの車両は短編成で運行することを前提としているため、中間車がほとんどないのです。そればかりか、形式によってはT車や片運転台車すら存在しないこともありました。
 この問題を解決しアドオンに汎用性を持たせるため、私は「現実を二次創作する」ことに決めました。以下、岳南鉄道1100系を例にどのようにアドオンを作成していったのかを解説します。
 岳南鉄道1100系をはじめとした日車標準車体車は、基本的に両運転台の電動車のみしか存在していません。(アルピコ交通10系のみ、両運転台の付随車が存在います)そのため、まずは実在車の両運転台の電動車を作成しました。
 しかし、これでは長編成を組むことはおぼつきません。長編成の組み方には色々あるかとは思いますが、一番単純なのは以下のような組み方です。

 [Mc] - [T] - [M] - [T] - [M] - [Tc]

 妻面などを適切に制作して合成して、[Mc] [M] [T] [Tc] の4種類を作ることで、簡単な長編成果が可能です。あなたもぜひやってみてください。

長野電鉄OSカー

 私の地方私鉄アドオンの原点は、なんといっても0系電車です。
 0系電車は長野電鉄の自社発注車であり、1966年という当時としては極めて先進的な車両でした。首都圏の大手私鉄にも十二分に通用する20m4ドア車体。当時は急行列車用ですら極めて珍しかった側面方向幕。分割併合運用に対応するための二段式先頭方向幕。
 0系電車はそのどこをとっても極めて先進的であり、日本鉄道史上最高の車両といっても過言ではないでしょう。しかしながら、現実では4両しか製造されず、長野の地での活躍に止まっておりました。長野は善光寺の門前町として長い歴史を持ち、朝夕には大都市顔負けの通勤ラッシュを誇る日本有数の都市ではありますが、政令指定都市には及ばず、現時点ではまだそこまで規模が大きい都市ではありません。大手私鉄の通勤型電車としても、国鉄の通勤型電車としても過剰にすら見えてしまうほどの0系電車の特性は、決して十二分には発揮されなかったのです。
 私はこのような0系の特性をsimutrans上で十二分に発揮させるべく、様々な工夫を凝らしました。ぜひアドオンをダウンロードして、0系を体感してください。

 もとより0系を名乗る車両には先進的な要素が多いです。長野電鉄0系以降にも日本国有鉄道が既存の車両を0系と呼称したり、関東鉄道が0系気動車の運行を開始したりしました。これらにもOSカーにこそ及ばないものの、非常に個性的な要素が詰め込まれています。今後はこのような0系ファミリーについてもアドオン化を進めていきたい所存でございます。

実在車の拡張アドオン

 アドオン制作当初、既存のアドオンのドア配置等を変更したアドオンをよく制作しておりました。これは実在の歴史に若干のifを挟んだアドオンとなります。以下、上に示したキハE130のアドオンを例に説明します。

・特急(秋田リレーなど?)型→ 1ドア車を作成
・急行(よねしろなど)型  → 373系を参考に2ドア車を作成
・首都圏近郊通勤路線型   → より混雑するという路線特性を踏まえ、4ドア車に
・キハ110のような2ドア車

 こんな感じで、実際のE130のニーズである水郡線・久留里線・八戸線のようなある程度混雑する路線対応をいじることで、多くの車両を作ることができるのです。
 しかしながら、このようなアドオンには「所詮ドア変えアドオンであり、粗製濫造に繋がる」「portalがこのようなアドオンで埋まるのはいかがなものか」などという意見も寄せられました。これを踏まえ、コンセプトはそのままよりクオリティの高い「現実を二次創作した」アドオンを作る方向へとアドオン制作をシフトさせました。その結果細作されたのが、上にあげた地方私鉄自社発注アドオン群です。

国境なきsimutrans

 「国境なきsimutrans」とは、海外の車両を作成したり、海外をベースにしたプレイングを行う行為を総称したものです。私は、海外の車両のアドオンを制作することで「国境なきsimutrans」を行ってまいりました。
 私の守備範囲は、主に旧共産圏の狭軌鉄道です。旧共産圏は比較的鉄道整備が進んでおり、主要幹線以外の支線系統についても整備が見られます。旧共産圏の片田舎を走行する狭軌鉄道には、独特の可愛さがあり、個人的に気に入っています。今年度は、「ボルジョミ・バクリアニ狭軌鉄道(ジョージア・グルジア)」「ノヴィ・アフォン洞窟鉄道(ジョージア・グルジア)」「咸興ナロー(北朝鮮)」「樺太の鉄道(ソ連・ロシア連邦)」などを作成いたしました。
 2022年後半には、標準軌の大型車両にも挑戦を行いました。先日公開した「ウクライナ客車」は、初めて本格的に作成した標準軌の大型車両です。それ以前にも、習作として「Listenbourg Railway Set」などを公開しております。標準軌の大型車両は扱いづらいと思っている点も多く、今後とも自己研鑽が必要であると考えております。(鹿せんべいさんとかすごいですよね、ほんとに....)

 今年は、欧州の鉄道にとっては受難の時期でありました。
 2月24日にロシア連邦がウクライナに全面侵攻し、多くの住居やインフラ施設が破壊されました。当然、鉄道も例外ではありません。兵器・軍需品・人員の輸送に使用される鉄道は攻撃を受け、多くの損害と犠牲を生みました。そのような状況下でも鉄道はサービスを続け、今日も困難な状況に立ち向かっています。
 欧州の鉄道が困難を乗り越え、平和が訪れることを心より願っております。

ニッチなアドオン

 今年simutransのアドオンを作成する上で最も難儀したのは、「アイデアを出す」ことです。このアイデア出しの一環として、「既存のテーマの掘り下げ」を行いました。
 11月に、私は「沿岸捕鯨船」「イカ釣り漁船・蛸壺漁船」を投稿しました。これは既存の漁船を掘り下げたものです。ひとえに漁船といっても、漁法によって船舶の形は絶妙に異なります。通常の御饌と異なり、沿岸捕鯨船は捕鯨砲を備えています。イカ釣り漁船は大規模な灯りを備えています。
 今後もこのような掘り下げアドオンの制作を継続する予定です。漁船といっても、延縄漁船はまだありませんよね?蟹工船も、マグロ漁船も、海女が乗ってる漁船もまだありません。アイデアは、無尽蔵です。

Vtuber等のラッピングアドオン

 今年2月〜3月には主にこのようなアドオンを制作しておりました。懐かしい。
 この時期私はVtuberにハマっており、Vtuberに関係した内容のアドオンを作成しておりました。しかしながら、潤羽るしあが引退してしまってからはそこまで見ていません....

その他・ギャラリー

 バス停アドオンです。かわなみ氏が伊豆箱根地域のバス停(いわゆる、「関本」)を製作したのに感化されて制作しました。これ以外にも、八重山地域のバス停アドオンなどを作成しております。
 205系のアドオンです。一時期、没になったデザインアドオンの制作を試みたのですが、形になったのはこれだけです.....
 一部界隈で有名なpower40000のアドオンです。作って思いましたが、こんな車両が活躍できる新幹線はあるのでしょうか?正直な話、只見新幹線でもできない限り無理だと思います。
『(運行コストが)高いアドオンにお困りですか?(運行コストが)安いアドオンがsimutransに到着しました。』

 simutransのアドオンは、どうしても権威ある交通事業者の車両が多いように感じます。格安企業や新規参入企業のアドオンについても、作っていきたい所存です。

終わりに

 本年は皆様にお世話になりました。皆様からの応援やお叱り、助言や提案等、頂いた全てに感謝しております。
 来年以降もアドオン制作を継続する予定です。何卒よろしくお願いいたします。
https://adventar.org/calendars/7489

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